夫婦のアトリエも兼ねた、東京の都心の住宅街の中に建つ住宅である。
敷地の外形に合わせて平面的に少し変形した箱の中に、本棚の棚板のような床がいろんな高さに浮いているような構成でこの住宅は作られている。それらの棚板のような床には好きな家具が好きな場所に置かれて、ダイニングやキッチン、リビングやベッドルームになっている。大きな気積をもったこの箱の中には、浮遊している棚板の床の上でのいろんな生活の場所が360度の視点で展開していく。この箱の中では生活する場所が従来の生活動線のようなもので一方向的につながっていくものではなく、3次元的な距離によってそれぞれが見え隠れしながらつながっている。それぞれ平面的には隣り合い開放的でありながらもその距離によって適度な分節を同時に確保している構成である。
棚板のような床は、箱の中間の位置にある立体的に交差したフレームの棚柱にそれぞれ引っ掛かっているだけの構造とし、棚板のような床は構成としても構造としても自由度が生まれている。床はそれぞれ独立し自由度を持つことで、それぞれがすべての床との関係でこの箱の中で場所をフィットさせていく。棚柱はフレームとして機能するだけではなく、自由な棚板の床に対して様々な高さで柔らかく分節する役割も担っている。それは手すりになったり敷居のようになったり、本棚や洋服棚になっている。
大きな家具のようなこの小さな住宅は、生活そのものを収納していくような、そんな住宅になっている。
Client/ a couple
Location/ Meguro-ku, Tokyo
Site area/ 70.31sqm
Built area/ 75.62sqm
Completion date/ May 2012
Structure/ Wood flame, 2 story
Structure engineer/ Tatsumi Terado
Contractor/ Sinei,Ltd
Photographer/ Hiroyasu Sakaguti, Tatsumi terado
Staff/ Sota Matsuura
クライアント/ 夫婦
場所/ 東京都目黒区
敷地面積/ 70.31㎡
延床面積/ 75.62㎡
完成時期/ 2012.03
構造規模/ 木造2階建て
構造設計/ 寺戸巽海
施工会社/ 伸栄
撮影/ 坂口裕康 寺戸巽海
担当/ 松浦壮太