オモテウラウチソト
区の条例でワンルームの単身者世帯は25㎡以上の専有部を確保する規則があります。
その中で住戸の配置や避難経路他法規寸法をクリアしながら事業性を考慮して計画を進めていかなければなりません。
ただ25㎡といっても広いとか狭いとか、個人によって受け取り方は様々であり、住戸の数や配置によって生活空間に息苦しさを感じるような間取りになってはいけないなあと感じていました。
建築には数字では測れないような体験的な広がり方を感じることができ、概念的な思考から建築空間へ展開していくことで、25㎡以上に少しでも居住者ひとりひとりの生活を豊かにしていけるような計画を考えていきました。
周辺には車が通っていけないような小さな路地や袋小路がある下町の風情が多く感じられるような場所です。狭い路地に個人の所有する植物や洗濯物が路地にはみ出していたりするのをみて家の前の道まで生活空間としているような気配を感じていました。
同時にそれがまちが許容している人のつながり方でもあると感じ、この体験が敷地の中と外・建物の外と中の環境を再度見直していくようなきかっけになったと思います。
全部で18戸。住戸専有部はすべて25㎡です。どう感じられるのでしょうか。
(不動産用語を借りれば3面採光、全部屋角部屋の居室同士の界壁がないような計画になりました。)
RC躯体工事の後から外壁の鉄骨下地工事~サッシ工事~外装パネル工事~内装工事~塗装仕上げ工事と工程を重ねていくことで外壁をつくっていきます。
この工程が、外部と室内の居住領域との線引き作業になっています。
現場を訪れるたび、その線引き作業により単純に内外が分かれていく以上に空間属性の変化について考えさせられることが多かったように思います。(隣地の建物の距離に対してあまりに開放的な場所を体感したことがなかったからかもしれません:狭小地における一般的な建物は隣の建物に対して壁をつくることが多いため)
型枠がばれてようやく2Fを歩けるようになった頃は、敷地内の建物ではありながらも、まちとの距離やスケール感によるものなのか、このまちの中の一部に属しているどこかを歩いている感覚に近く、それに同調しているような気配さえ感じていました。
自然に考えてみれば、壁がなければ外部空間であり、まちの中というとざっくりですが、隣地建物とのすきまの一部→建物と建物あいだ≒まちの空間→駅から現場までの体験(ほぼこの間しか行き来してない)といところまでが絞られていくように思います。
この空間体験が損なわれないように線引きを行っていくことで、居住域での生活体験がどう展開していくのか考えさせられると同時に、ただ人が生活するためのハコを並べ積み重ねていく行為とは大きく異なっていると感じています。
少し前に遡りますが、この建物の外壁は乾式なので、工程的には先にスラブとコア回りの壁の躯体工事が行われていました。躯体工事を進めてるときに職人さんが躯体壁にもたれかかるように休んでいました。
このとき建物は半外部空間の状態で丁度夏頃の工事だったので日陰をつくる軒下のような場所で休憩していました。コアから少し出ている壁が現場で型枠工事屋さんの昼寝場所や鉄筋屋さんの談笑スペースになっていたり、段ボールがきれいに納まっていたり、いろんな溜まりができていたのを覚えています。工程が進むにつれて外壁工事がはじまり、ここ最近ではキッチンやエアコンが壁に設置され、住まう場所へ整っていきますが、室内化への工事の工程の中でも少しクセのある躯体壁がゆるやかに多様な場所をつくりだしていくのを感じました。住み手によってどんな場所になっていくのか楽しみです。
内壁の仕上げを考えています。
門前仲町のこの場所は大通りから少し入ったところで、このあたりは狭い道路が入り組んで昔からの民家が立ち並ぶような環境です。
それぞれの民家は壁がくっつくぐらいに近くて、建て替えもなかなか難しそうな状況が多く見られます。外壁を塗り替えて寿命を延ばしていく、そういう外壁修繕工事中の現場がいつもどこかにあるような場所です。
隣にある外壁をこちらに引きずり込んで、積層された路地空間のような場所を作ることができそうな気がしています。
門前仲町の集合住宅は、年内にコンクリートの躯体を打設すべく現場が進んでいます。
分棟のひとつは屋上まで打設が終了し、屋上には地階まで穴があいている光井戸が立ちあがっています。ここから各住戸に光と空気を通していきます。
これからいよいよ仕上げの検討に入っていきます。
戸建住宅とは違った、集合住宅ならではの仕上げを考えるべく、ひとつの住戸の仕上げ感とそれが18戸連なってくる時の仕上げ感を意識しながら検討していこうと思います。
門前仲町の集合住宅の現場では、地盤改良工事が完了し、基礎工事に入っています。
決して良くはない地盤耐力に対して、杭工事を行わずに、免震工法のひとつである置換工法を採用しています。
建物の重量と同等の土を取り除き、地盤を軽量化しています。コスト削減に大きく貢献しながら、安全性を高めています。
今回の計画規模ではベストな選択になっています。
工事はいよいよ上部構造に入っていきます。
東京の門前仲町に、ワンルームのアパートメントを昨年から設計しています。
都心部のワンルームの賃貸住居として、住戸境がなく全方向が開口部となるような計画となっています。
25㎡ワンルームという形式の中で、多様で快適な住居がつくりだせるように考えています。
いよいよ春から工事が着工します。