広さと距離感

宇都宮の事務所がいよいよ上棟を迎えます。

建築面積600㎡のワンルームだけあって、内観にも迫力があります。

 

600㎡という広さは、なんとも不思議な感覚でした。

住宅ほど身体的過ぎもせず、街中ほど縁遠過ぎもせず、公園ほど自由過ぎもせず、

躯体の中を歩んでいる間は常に、

距離感がブレ続けている様に感じました。

建築をつくる事は、無限の中に領域や距離を計る定規を設定する行為だと思いますが、

そこで出てくる距離とは、何と何の間にある距離の事なのか。

建築には沢山の距離がまつわる事を改めて感じた様な気がします。

 

人と人、物と物、建築と周辺環境、建築と自然、社屋と住宅といった物理的な距離感もあれば、

社屋が地域へ放つメッセージの飛距離、アカデミックな存在としての建築が放つ仮定と実証と妥当性、

上棟したばかりの躯体が竣工まで辿り着くまでの過程、

この感覚は自分が見知っている感覚の中のどこに位置づけたら良いか、などなど、

心理的、概念的な距離感も様々にある様に感じました。

 

住宅と違い社屋は、普段は一般の人が入る事ができませんが、

その建築がある事で、その建築を目にする事で、

何かを考えるきっかけになったり、

ものの見え方の解像度が少しだけ高くなる様な建築になると良いなと思っています。